我が家に犬がやって来た 16 犬の寝顔

いつも弟のジロが前で兄のタロが後ろ。
ま、生まれた順番で僕たちが
兄と弟と決めているだけだから
自覚はまったくないと思うけどね。
「あれから三年とは、早いものだな」
毎朝散歩して、夜は家に帰ると
「やっと帰って来たか」とばかりに
まとわりついてくる。
僕がお風呂に入ると
タロはじっと風呂の外で待っているし
ジロは僕がソファに座るとすぐにすっ飛んでくる。
「犬はホントに、けなげだな〜」
犬という動物はいったん相手を主人と決めると
限りない忠誠をつくす。
薄情な子供たちに
ちょっとは見習ってもらいたい(笑)

犬の寿命が短いことはわかっているから
別離の時のことをついつい考えてしまう。
「その日までは、元気で生きてくれよ」
切ない気持ちがこみ上げてくる。
タロとジロが夫婦だけの家に来てから
家の中が明るくなり、会話が弾むようになった。
三人の子供たちもタロとジロに会いたいから
実家に帰ってくることが増えた。
出張にいけば
「今頃、どうしてるかな」
と、タロとジロの姿を心に思い浮かべる。

「犬の寝顔は可愛くて、心安らぐな〜」
僕たち家族に無償の愛を注いでくれる
タロとジロの為にも
「まだまだ、やったるぞ〜」
そんな力が沸いてくるのも
犬の持つ不思議な能力だと思うのです。