2024.11
マラガより愛をこめて 2024 その1
大なり小なり旅にトラブルは付き物であり
楽しかった想い出よりも
少々つらい思いをしたことが心に残る。
海外においては国内旅行に比べて
不運に見舞われることが多いのは言うまでもない。
思い起こせば僕もいろんな国に行ったから
「こりゃ、まいったな」
と、思わず嘆く経験をしてきた。
それに残念ながら英語が堪能でない
多くの日本人はトラブル時に主張することができず
悲しいかなジッと耐えるしかない。
単に主張できないだけなのに
「忍耐強い国民だな」と思われているフシもあるから
それはそれでいいと思う。
それで僕はスペインの「マラガ」という都市にいる。
マラガは南スペインのアンダルシア州にある
地中海に面した都市。
この旅を決めるまでは、ほとんど知らなかったのだが
本を買って色々調べるとかなり人気の観光地とのこと。
それもそのはず
調べれば調べるほどに魅力あるれる場所だとわかる。
アンダルシアっていう言葉の響きだけで旅情感があるし
「アンダルシアに憧れて」っていうイイ歌もあるからね。
「一年のうち300日は晴天という温暖な天候に恵まれ
長旅を終えてマラガ空港に降り立つと
迎えてくれるまばゆい日差しに誰もが顔をほころばせる。
そして世界中でいちばん笑顔が集まる空港かもしれません」
と、ガイドブックに書いてある。
が、しかし・・・。
僕は羽田空港からフランクフルト経由で
マラガに行く予定を組んだ。
フランクフルト空港はものすごく大きい空港で
乗り継ぎに戸惑うけど経験を元に焦らずスムーズに
ルフトハンザ航空のマラガ行きに乗り込む。
8時50分発なのになぜか飛ばない。
その理由のアナウンスはないし
あっても早口の英語かドイツ語はわからない。
約一時間後に飛行機は動き始めてホッとする。
「あっ、今回の旅行の友は末娘です」
娘と
「3時間弱で着くから、昼過ぎにはホテルに着くね」
たわいもない会話をしつつ飛行機は
ドイツから南に向かって飛んでいく。
着陸態勢に入ると雨が降ってきた。
「なんか、マラガは大雨らしいよ」
少しは情報を得ていたが
まさか警報並みの大雨とは思わなかった。
着陸寸前に飛行機はなぜかエンジン音を大きく響かせて
ぐんぐん上昇していく。
地中海を超えて、すぐそこにアフリカ大陸が見えそうだ。
30分ほど旋回して再び着陸態勢に入る。
「頼む、降りてくれ。ビビるんじゃねえぞ機長」
日本語で小さくつぶやく。
またもギリギリで飛行機は上昇し地中海へ。
さすがに乗客からため息が漏れる。
「何度でも挑戦だ、機長!」
そして説明のアナウンスが入る。
早口でほぼわからないけど
「セビージャ」という言葉が聞き取れる。
「もしかして、あきらめて
セビーリャ空港に行くんじゃね」
30分ほど飛んで飛行機は三たび着陸態勢に入った。
外は雲の切れ間から日が差している。
飛行機が着陸して見えた空港の建物には堂々と
「SEVILLE」と書いてある。
「アカン、セビーリャに降りてまったわ」(名古屋弁)
ここからは「泣きっ面にハチ」状態が続く。
どのターンテーブルからでてくるかわからない上に
なかなか出てこないキャリーバッグ。
飛行機一個分のお客さんたちに焦りの表情が見えるけど
一番オロオロしているのは唯一の日本人である僕らか。
「どうする、ここから」
娘と検討に検討を重ねて出した結論というか
適当に集団について行って航空会社が用意した
臨時のバスに乗り込む。
「ま、マラガまでは200キロ近くあるけど
これで着くなら安心だね」
地平線まで見渡せる車窓からの風景を見ながら
バスは一路ハイウェイでマラガを目指す。
日本のサービスエリアが一番きれいだと思っていたが
中間で立ち寄った場所はものすごく清潔で驚く。
午後6時半ごろ、僕らのバスは無事にマラガ空港に着いた。
しかし不運な出来事はこれで終わらなかった。
続く。
楽しかった想い出よりも
少々つらい思いをしたことが心に残る。
海外においては国内旅行に比べて
不運に見舞われることが多いのは言うまでもない。
思い起こせば僕もいろんな国に行ったから
「こりゃ、まいったな」
と、思わず嘆く経験をしてきた。
それに残念ながら英語が堪能でない
多くの日本人はトラブル時に主張することができず
悲しいかなジッと耐えるしかない。
単に主張できないだけなのに
「忍耐強い国民だな」と思われているフシもあるから
それはそれでいいと思う。
それで僕はスペインの「マラガ」という都市にいる。
マラガは南スペインのアンダルシア州にある
地中海に面した都市。
この旅を決めるまでは、ほとんど知らなかったのだが
本を買って色々調べるとかなり人気の観光地とのこと。
それもそのはず
調べれば調べるほどに魅力あるれる場所だとわかる。
アンダルシアっていう言葉の響きだけで旅情感があるし
「アンダルシアに憧れて」っていうイイ歌もあるからね。
「一年のうち300日は晴天という温暖な天候に恵まれ
長旅を終えてマラガ空港に降り立つと
迎えてくれるまばゆい日差しに誰もが顔をほころばせる。
そして世界中でいちばん笑顔が集まる空港かもしれません」
と、ガイドブックに書いてある。
が、しかし・・・。
僕は羽田空港からフランクフルト経由で
マラガに行く予定を組んだ。
フランクフルト空港はものすごく大きい空港で
乗り継ぎに戸惑うけど経験を元に焦らずスムーズに
ルフトハンザ航空のマラガ行きに乗り込む。
8時50分発なのになぜか飛ばない。
その理由のアナウンスはないし
あっても早口の英語かドイツ語はわからない。
約一時間後に飛行機は動き始めてホッとする。
「あっ、今回の旅行の友は末娘です」
娘と
「3時間弱で着くから、昼過ぎにはホテルに着くね」
たわいもない会話をしつつ飛行機は
ドイツから南に向かって飛んでいく。
着陸態勢に入ると雨が降ってきた。
「なんか、マラガは大雨らしいよ」
少しは情報を得ていたが
まさか警報並みの大雨とは思わなかった。
着陸寸前に飛行機はなぜかエンジン音を大きく響かせて
ぐんぐん上昇していく。
地中海を超えて、すぐそこにアフリカ大陸が見えそうだ。
30分ほど旋回して再び着陸態勢に入る。
「頼む、降りてくれ。ビビるんじゃねえぞ機長」
日本語で小さくつぶやく。
またもギリギリで飛行機は上昇し地中海へ。
さすがに乗客からため息が漏れる。
「何度でも挑戦だ、機長!」
そして説明のアナウンスが入る。
早口でほぼわからないけど
「セビージャ」という言葉が聞き取れる。
「もしかして、あきらめて
セビーリャ空港に行くんじゃね」
30分ほど飛んで飛行機は三たび着陸態勢に入った。
外は雲の切れ間から日が差している。
飛行機が着陸して見えた空港の建物には堂々と
「SEVILLE」と書いてある。
「アカン、セビーリャに降りてまったわ」(名古屋弁)
ここからは「泣きっ面にハチ」状態が続く。
どのターンテーブルからでてくるかわからない上に
なかなか出てこないキャリーバッグ。
飛行機一個分のお客さんたちに焦りの表情が見えるけど
一番オロオロしているのは唯一の日本人である僕らか。
「どうする、ここから」
娘と検討に検討を重ねて出した結論というか
適当に集団について行って航空会社が用意した
臨時のバスに乗り込む。
「ま、マラガまでは200キロ近くあるけど
これで着くなら安心だね」
地平線まで見渡せる車窓からの風景を見ながら
バスは一路ハイウェイでマラガを目指す。
日本のサービスエリアが一番きれいだと思っていたが
中間で立ち寄った場所はものすごく清潔で驚く。
午後6時半ごろ、僕らのバスは無事にマラガ空港に着いた。
しかし不運な出来事はこれで終わらなかった。
続く。