偉大なる桂由美先生
あなたが知っている人を教えてください」
新卒採用の面接でそんな質問をすることがある。
「桂由美さんです。
あとはすいませんが勉強不足で知りません。」
十中八九その答えが返ってくる。
それは結婚式業界以外の人へ質問しても同じだと思う。
一般の人までもが知っている
唯一無比のドレスデザイナーである
桂由美先生が94歳で亡くなった。
先生は1964年に日本初のドレスサロンを東京で開いた。
ウェディングドレス業界の先駆者であり
女性でありながらこの時代に起業したことも驚きだ。
先生はこの時代に悩みに悩んだと推測する。
「いかにしてウェディングドレスを広めるか。
そして自分のデザインしたドレスを
いかにして結婚式で着てもらうか」
ここで出した結論とその後の行動が
桂由美ブランドを全国に轟かせることになる。
それは企業の競争戦略のお手本ともいえる
他社がそう簡単に真似できない秀逸な戦略ストーリーだ。
(これは競争戦略を分析することが好きな僕の私見です)
だからこそ
「ウェディングドレスといえば、桂由美」
これが50年以上続いている。
先生はドレスデザイナーとして超一流で
起業家としても抜きんでた存在なのだ。
ここからは少し自慢なのだが
僕は先生に褒めてもらったことを密かに誇りに思っている。

桂由美先生がこの記事を読んで
「そうなのよ、河合さん
これは私が長年願ってきたことなの。
よく言ってくれたわ〜」
と、僕に伝えて下さったのだ。
先生は亡くなる数日前まで現場で仕事をしていて
まだまだやりたいことが沢山あると言っていたと
報道で知った。
「スゴイ!凄すぎる」
77歳まで現役で突っ走ると自慢げに言っている自分が
あまりに甘ちゃんだと恥ずかしくなる。
「先生のあとを継ぐのは俺しかいない」
ドレスデザイナーじゃないからそれは冗談だけど
結婚式愛を最後まで貫き通したその志を
自分は継承するひとりになろうと思ったのだった。