コンパートメント No.6
「ひとり旅をしたことがありますか?」
しかも、夜行の寝台列車に乗って。
僕は自慢だけどある。
日本一周をした若き日と
46歳のジジイになった時の二度。
寝台車は一度乗ると
よほどのことがない限り終点まで降りることがない。
閉じた空間の中で何をすればいいのか
非日常だけにわからないのだ。
ま、変わりゆく景色をボーっと眺めて
旅情気分に浸るしかないし
暗くなると狭いベッドで眠るだけなのだけど。
この映画の主人公の女性は
モスクワに住むフィンランド出身の
ややインテリな女性。
思うところあって
モスクワから故郷のフィンランド沿いに走る
寝台列車に乗り古代の年「ペトログリフ」に向かう。
1990年代の話しで
同然ながら携帯もスマホもなかった。
寝台列車で三泊する旅の中での出会いを
ロシアの冬の風景と共に描いた映画がこれ。
コンパートメント No.6

日本のほとんどの寝台列車は姿を消してしまったし
見知らぬ男女が同じコンパートメント(車両の一室)に
隣り合わせになることは今ではあり得ない。
それでも新幹線がない時代の日本では
きっと田舎から東京へ向かう列車の中で
いろんなドラマがあったんだろうなと想像する。
古き良き時代を懐かしむ物語ではないけど
「偶然の出会いがなきゃ、人生面白くないよな〜」
主人公の女性とたまたま隣り合わせた
ロシアの労働者階級の男の出会いが
羨ましくも新鮮だ。
映画のラストシーンって、いろんな解釈ができるし
それを観客にゆだねることにより、余韻が深くなる。
「この映画のラストが好きだ」
ぜひとも、その気分を味わってください。