よろこびの歌
作者だということは知っていた。
新聞広告でなんとなく惹かれて
大賞作品を買おうかなと思っていたところ
新幹線に飛び乗る直前に
この文庫本が目に留まり手に取った。
女子高校生の物語だ。
主人公を中心とした
同じクラスにたまたま集まった少女たちの
青春成長小説だと思う。
当たり前だが
女子高生の気持ちを僕がわかるはずもない。
男子にとっては想像の世界でしかない
女子高が舞台となっているし。
イメージをするとすれば
とても騒がしくて少し陰険な感じだ。
だがこの本に登場する子たちは
静かに自分自身の境遇を憂いている。
「そうだな〜、きっとそう考えてしまうよな」
高校生の心情を
作者は丁寧に書き込んでゆく。
僕が読んでも共感するのだから
同じ時代に生きる学生諸君が読んだのなら
なおのことだろう。
読みながら自分自身の青春時代を思い起こす。
「どうしてあんなに、かたくなだったのだろう」
「少しだけ素直になればいいのに」
わかっていてもできないのが
10代の中盤なのだとも思う。
それでもそれを少しずつ自分を変えて
成長していくのはなぜか。
登場人物たちは「合唱」に出会った。
きっと出会いがすべてを変えていくのだ。
さて、女子高生たちがどんな音楽を奏でるのか。
それは読んで感じてほしい。
きっと行間から歌声が聞こえてくる。
僕は久しぶりに本を読んで涙した。
僕のリーダーシップの原点が
この本の主人公のように
中学三年の時に合唱コンクールの指揮者を
友達の推薦により任されたことだから。
今も時折その時のことを思い起こして
自分自信を確認することがあるほど
自分の出発点になっている。
苦い青春を経験したのなら
きっとこの本は心に刺さる。
音楽に打ち込んだ日々があるなら
さらに心に深く残ると思う。
連作短編集なので
毎日一話ずつ読み進むのもいいね。
河合達明
自信を持ってすすめます!!
PS.
昨日から三日間に渡り
新卒最終面接が始まった。
今日はこんなブログを書こうと
机にこの本を置いていた。
そしたら朝から合唱や吹奏楽や管弦楽に打ち込んだ経験のある
就活生が続々と僕の目の前に現れた。
「不思議な縁だな〜」
思わずこの本をすすめたのだった。
ぜひ、読んで。