赤めだか
多めに持っていく。
しかしここのところ
キンドル(電子書籍)だと軽くて済むので頼り切っていた。
ところが飛行機の中で
キンドルを開けてみると「ガ〜ン」
なぜか放電していて、電源切れ・・・。
それでも成田空港でたまたま手にした
この本が救ってくれた。
8年も前にヒットした
人気の落語家が書いたエッセイが文庫になったのだ。
二宮くん主演でドラマにもなったので
すでに読んだ人も多いと思う。
著者である立川談春の落語を聞いたことはもちろんない。
恥ずかしながら落語を聞いたのは
元社員である吉田ノリのたどたどしい素人落語だけだ(笑)
それはともかく立川談春は
1966年生まれなので僕と同い年。
思春期は「漫才ブーム」一色で
普通なら漫才師を目指す時代だ。
それがどうして落語家を目指したか。
そこから物語は始まる。
中学生の談春は
天才立川談志の落語を聞き魅了されてしまう。
そして即座に弟子になろうと決める。
17歳で高校を中退して
ホントに弟子入りしてしまうのだ。
師匠の立川談志が
弟子入りを許すセリフが実にいい。
「弟子にしてやるよ、よし、いい了見だ。
昔はな、新聞配達少年なんて、みんな貧乏人だったんだ。
恥ずかしいから隠したもんだ。
今はいい時代だから美談になる。
十七で家を出て新聞配達をしながら修行したなんて
売れた後で自慢になるぞ。
黒柳徹子が涙ぐんで、ご苦労なさったのねェ、なんてお前に聞くぞ」
「よしんば売れなかったとしてもだ。
縄のれんで一杯飲っている時のグチのネタになる。
心配するな。どっちを選ぶかはお前次第だ」
一生懸命にやれなんて、口が裂けても言わない。
人生思い通りにいかないけど
どう転んだってそれほど悪いことはないと教えているのだ。
もう、飛行機の中で怒涛の一気読みだ。
泣いて笑って、また泣いて。
メチャクチャ面白い!
これはエッセイというより
自伝的青春小説だと思う。
バブル全盛期に理不尽な修行に耐えて
談春は真打にまで上り詰める。
「俺なら、とっくに逃げ出したな・・・」
修業時代の話はまさに
笑うに笑えないコントの世界だ。
そして今更ながら
これは絶対に落語を聞かねばと思ったのだった。
みなさんも、ぜひ。