鯨分限
「この本を読んで!」
と、心から思う本を紹介したい。
「どんな困難が待ち受けていようと嫌な仕事だろうと
上に立つものは逃げてはいけない。
それを伝えたかった」(by作者の伊藤潤)
主人公は紀伊半島の太地という村にあった
古式捕鯨集団「鯨組」の最後の棟梁(とうりょう)太地覚悟(かくご)
名前がいい。
史実に基づいて書かれた小説だから
実在の人物だ。
時は幕末から明治への激動期。
幼い頃から「鯨組」のリーダーになることを
宿命づけられていた覚悟に
「これでもか」と試練の数々が襲い掛かる。
もう、不運の連続だ。
それに真正面から立ち向かう姿に心打たれる。
「がんばれ、覚悟」
そう呟きながら読み進む。
それでも時代の荒波は
容赦なく覚悟とその仲間を飲み込んでいく。
「僕らはこんないい時代に生きていて
少しの不運に嘆いているとしたら
それは大きな間違いだ」
そう思わずにはいられない。
作者の伊藤潤さんは
長らく外資企業のビジネスマンとしてバリバリ働いていた。
そして42歳で初めて歴史小説を書いたという。
「ビジネスに通じるな〜」
と、強く感じるのは
この異色の経歴があるからだと思う。
そしてできれば「日本伝統の古式捕鯨」について
前編ともいうべきこの本を読んでから
「鯨分限」に挑んでほしい。
これを読めば
一部の海外メディアから批判を浴び続けている
日本の捕鯨についての歴史を学ぶことができる。
漁業の一部である「古式捕鯨」は
なにしろ凄まじい仕事だ。
その様子をこれでもかと描写している。
まるで自分が捕鯨舟に乗ったかのような気持ちを味わえる。
僕は想像での船酔いと
壮絶な鯨との戦いに気持ち悪くなった・・・。
そして考えさせられる。
お正月休みに、この二冊をぜひ。
コメント一覧 (3)
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- 2015年12月15日 09:18
- 大竹さん、そのまま「鯨分限」もぜひ!
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- 2015年12月25日 14:05
- 「鯨分限」、3日前に読了です。
3日間、コメントが書けずにいた理由があります。
主人公・太地覚悟のあまりのぶれのなさに打たれ、言葉が浮かびませんでした。
一度会ったきりの女性に命をかけることも、濡れ衣を着せられても恩義を守るため沈黙を通すことにも、覚悟には「当たり前」のこと。
そこには、一寸の迷いもありません。
「生き方」という言葉が初めて薄っぺらく思えました。
なんにせよ、“読まずに死ねるか!”的一冊です。
普段、あまり本を読まない人も、確実に楽しめます。
ぜひ、社長オススメの順番でどうぞ。
社長、いい本、いえ、いい人をご紹介くださいました。
ありがとうございます。
とてつもない筆力に圧倒されました。
ご紹介、ありがとうございます!