出口のない海
往復の新幹線で
この本に夢中になった。

著者横山秀夫は
ミステリー作家として
不動の人気がある。
僕も話題になった「半落ち」や
「クライマーズハイ」を夢中になって読んだ。
「出口のない海」は
まだデビュー前の作品を
全面改稿し刊行された本だ。
物語の背景は太平洋戦争。
主人公、並木浩二は甲子園優勝投手。
しかし大学に進むと肩を壊してしまう。
それでも決して野球をあきらめず
来る日も来る日も復活めざし
投げ込む。
そんな中、戦争が本格化し
大学生にも召集令状が届く。
並木は運命のいたずらにより
人間魚雷「回天」への搭乗を決意する。
「回天」は発射と同時に死を約束される
おおよそ考えられない
最終兵器だ。
この小説はきっと
青春小説だと思う。
並木やその仲間は
生と死の狭間で、もがき苦しむ。
そのもがき方は
現代を生きる僕達からは
到底想像がつかない。
「何のために死ぬのか」
並木は苦しみに苦しみぬく。
涙なくしてとても読めない。
これは、ほんの数十年前に
この日本で起こった事実なのだ。
この夏
じっくりとこの物語を読んでほしい。
並木からのメッセージを
みなさんはどう受け止めますか。